白夜行2008年02月24日

題名:白夜行 著者:東野 圭吾

内容的にはミステリーであるが、まずは登場人物の多さが目立ち、
次から次へと新しい人物が出てくるので、頭を整理して読まないと
途中で話がわからなくなってしまう。
特に単発で登場しその場面だけで終わってしまう人物があり、話
の繋がりが無いのでかなり戸惑ってしまう。
物語は殺人事件なのだが、最後まで読まないと全く犯人の見当
がつかない。これはこれでいいのだと思うが、読んでいて退屈し
してしまうことがあった。面白くなるのは最終章でそれまではダラ
ダラと変化があまりなく物語が進み、ちょっと根気がいるように思
えた。

結末は加速度的に進み、最後の数ページが勝負と云った感じだ。
読み終わってみると、クライマックスがはしょってしまった感じで
物足りない感じがした。物語のコンセプトは良いので、もう少し
凝縮した内容にすると読みやすかったのではないかと思った。

おもしろ度 ★★☆☆☆

往生際の悪いヤツ2008年02月26日

かねてから業績の悪かった自分の会社が、ついに破綻し
某メーカーに営業権を譲渡することになってしまった。
社員は全員解雇。新会社へは7割弱の人間が移ることに
なった。自分はといえば、前から会社に対して嫌気が差し
ていたし、某メーカーの傘下に入る会社になんか行きたく
ないと思っていたので、オファーがあったけれども潔く断っ
た。

さて、通常だと取締役という肩書きがある人間は、当然
破綻すれば会社とともに消えていなくなる存在のはずだ
が、約1名往生際の悪いヤツがいて、新会社からのオフ
ァーがあって残るのだろうが、常識的に考えて取締役な
んだからそういう話があったとしても断るのがスジっても
んだと思うのだが、信じられないことに皆と一緒に面接
を受けて、まぁ、裏で入社が決まっていたのだから採用
は当然だとしても、新会社の説明会の時に恥ずかしくも
なく同じ席に座っていたのだ。
しかも、「オレが言ったとおりに仕事をしないから会社が
ダメになったのだから、オレには責任が無い。」というような
ことを言っていたらしいから、あきれて物が言えない。
こんなヤツが取締役の席に座っていたのだから会社が破綻
したのだろう。

まぁ、せいぜい某メーカーの歯車になって、使い捨ての運
命になることを祈る!

愛の流刑地2008年02月26日

題名:愛の流刑地 著者:渡辺 淳一

「失楽園」に続く渡辺氏の純愛(?)作品である。
物語としては、不倫・性愛・京都と云うお決まりの要素
ではあるが、中身は非常に濃いものと思われた。
男と女の奥の深い愛情の表現を性愛(エロスというらしい)
という形を用いているが、男の気持ち・女の気持ちを
十二分に表現をしている。
不倫の末、男が愛する女性を殺めてしまうのであるが、
前半はふたりの出会いから深い中になってしまう話、
そして後半は女性を殺害してしまったことによる裁判
が中心に話が進んで行くのだが、「殺意」の有無が
焦点になり裁判が進む。
検事役を女性に設定した点がこの物語の奥深さを
さらに強いものにしているような気がした。
性愛の描写は官能小説かおまけであるが、男女の
愛の深さと気持ちを非常に良く伝えていると思う。
男の自分として、このように女性を愛せることができ
るということはうらやましいと感じた。それにはもちろん
女性の方も男性を心底愛することが必要であるとは
思うが・・・。
映画化もされているが、原作を読んだ後で観ると、前半
の二人の愛の深まりのシーンがかなり割愛され、
裁判中心のストーリーになっているので、少し物足りなく
感じると思う。
いずれにしても、原作はなかなか良い作品に仕上がって
いると思った。

おもしろ度★★★★☆